憲法GHQ草案_外務省仮訳の現代翻訳 のバックアップの現在との差分(No.1)

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これは先の合意に合っていないとしてGHQが次の様な草案を作成
我等日本国人民は、国民議会に於ける正当に選挙せられたる我等の代表者を通して行動し、我等自身及我等の子孫の為に諸国民との平和的協力及この国全土に及ぶ自由の祝福の成果を確保すべく決心し、かつ政府の行為に依り再び戦争の恐威に訪れられざるべく決意し、ここに人民の意思の主権を宣言し、国政はその権能は人民より承けその権力は人民の代表者に依り行使せられしかくしてその利益は人民に依り享有せらるる神聖なる信託なりとの普遍的原則の上に立つ所のこの憲法を制定確立す、しかくして我等はこの憲法と抵触する一切の憲法、命令、法律及詔勅を排斥及廃止す&br;我等は永世にわたり平和を希求しかつ今や人類を揺り動かしつつある人間関係支配の高貴なる理念を満全に自覚して、我等の安全及生存を維持する為世界の平和愛好諸国民の正義と信義とに信頼せんことに意を固めたり、我等は平和の維持ならびに横暴、奴隷、圧制及無慈悲を永遠に地上より追放することを主義方針とする国際社会内に名誉の地位を占めんことを欲求す、我等は万国民等しく恐怖と欠乏に虐げられる憂なく平和の裏に生存する権利を有することを承認しかつこれを表白す&br;我等はいかなる国民も単に自己に対してのみ責任を有するにあらずして政治道徳の法則は普遍的なりと信ず、しかくしてかのごとき法則を遵奉することは自己の主権を維持し他国民との主権に基く関係を正義付けんとする諸国民の義務なりと信ず&br;我等日本国人民はこれらの尊貴なる主義及目的を我等の国民的名誉、決意及総力に懸けて誓うものなり
編集の方針はカタカナをひらがなにし使われていない言葉を現代語訳しおかしいなと思われる部分を原語から翻訳しました。
カルヘシ=かるべし、タルヘシ=たるべし、セサルヘシ=せざるべし、セラルル=せられる、以って=もって、之=これ、其ノ=その、授與=授与、於て=おいて、之ニ=これに、凡ヘテ=すべて、爾後はその後、而して=そして、夫レ夫レ=それぞれ、補弼を類義語の補佐にした
エンペラーの外務省翻訳は皇帝になっていましたが皇帝は三皇五帝に比類するという意味であるのでここでは一般的な訳の君主としました。
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我等日本国人民は、国民議会に於ける正当に選挙せられたる我等の代表者を通して行動し、我等自身及我等の子孫の為に諸国民との平和的協力及この国全土に及ぶ自由の祝福の成果を確保すべく決心し、かつ政府の行為に依り再び戦争の恐威に訪れられざるべく決意し、ここに人民の意思の主権を宣言し、国政はその権能は人民より承けその権力は人民の代表者に依り行使せられそしてその利益は人民に依り享有せらるる神聖なる信託なりとの普遍的原則の上に立つ所のこの憲法を制定確立す、そして我等はこの憲法と抵触する一切の憲法、命令、法律及詔勅を排斥及廃止す&br;我等は永世にわたり平和を希求しかつ今や人類を揺り動かしつつある人間関係支配の高貴なる理念を満全に自覚して、我等の安全及生存を維持する為世界の平和愛好諸国民の正義と信義とに信頼せんことに意を固めたり、我等は平和の維持ならびに横暴、奴隷、圧制及無慈悲を永遠に地上より追放することを主義方針とする国際社会内に名誉の地位を占めんことを欲求す、我等は万国民等しく恐怖と欠乏に虐げられる憂なく平和の裏に生存する権利を有することを承認しかつこれを表白す&br;我等はいかなる国民も単に自己に対してのみ責任を有するにあらずして政治道徳の法則は普遍的なりと信ず、そしてかのごとき法則を遵奉することは自己の主権を維持し他国民との主権に基く関係を正義付けんとする諸国民の義務なりと信ず&br;我等日本国人民はこれらの尊貴なる主義及目的を我等の国民的名誉、決意及総力に懸けて誓うものなり
第一章 君主

第一条
君主は国家の象徴にして又人民の統一の象徴たるべし彼はその地位を人民の主権意思より承けこれを他のいかなる源泉よりも承けず
君主は国家の象徴にしてまた人民の統一の象徴たるべし彼はその地位を人民の主権意思より承けこれを他のいかなる源泉よりも承けず
第二条
王位の継承は世襲にして国会の制定する王室典範に依るべし
第三条
国事に関する君主の一切の行為には内閣のほひつ及協賛を要すしかくして内閣はこれが責任を負うべし
国事に関する君主の一切の行為には内閣のほひつ及協賛を要すそして内閣はこれが責任を負うべし
君主はこの憲法の規定する国家の機能をのみ行うべし彼は政治上の権限を有せず又これを把握し又は賦与せられること無かるべし
君主はその機能を法律の定むる所に従い委任することを得
第四条
国会の制定する王室典範の規定に従い摂政を置くときは君主の責務は摂政これを君主の名において行うべししかくしてこの憲法に定むる所の君主の機能に対する制限は摂政に対し等しく適用せらるべし
国会の制定する王室典範の規定に従い摂政を置くときは君主の責務は摂政これを君主の名において行うべしそしてこの憲法に定むる所の君主の機能に対する制限は摂政に対し等しく適用せらるべし
第五条
君主は国会の指名する者を総理大臣に任命ず
第六条
君主は内閣のほひつ及協賛に依りてのみ行動し人民に代りて国家の左の機能を行うべし即
国会の制定する一切の法律、一切の内閣命令、この憲法の一切の改正ならびに一切の条約及国際規約にシール(判子)を欽してこれを公布す
 国会ヲ召集ス
 国会ヲ解散ス
 総選挙ヲ命ス
 国務大臣、大使及其ノ他ノ国家ノ官吏ニシテ法律ノ規定ニ依リ其ノ任命又ハ嘱託及辞職又ハ免職カ此ノ方法ニテ公証セラルヘキモノノ任命又ハ嘱託及辞職又ハ免職ヲ公証ス
 大赦、恩赦、減刑、執行猶予及復権ヲ公証ス
 栄誉ヲ授与ス
 外国ノ大使及公使ヲ受ク
 適当ナル式典ヲ執行ス
 国会を召集す
 国会を解散す
 総選挙を命ず
 国務大臣、大使及その他の国家の官吏にして法律の規定に依りその任命又は嘱託及辞職又は免職カこれの方法にて公証せらるべきものの任命又は嘱託及辞職又は免職を公証す
 大赦、恩赦、減刑、執行猶予及復権を公証す
 栄誉を授与す
 外国の大使及公使を受く
 適当なる式典を執行す
第七条
国会ノ許諾ナクシテハ皇位ニ金銭又ハ其ノ他ノ財産ヲ授与スルコトヲ得ス又皇位ハ何等ノ支出ヲ為スコトヲ得ス
第二章 戦争ノ廃棄
国会の許諾なくしては皇位に金銭又はその他の財産を授与することを得ず又皇位は何等の支出を為すことを得ず
第二章 戦争の廃棄(Renunciation of War)

第八条
国民ノ一主権トシテノ戦争ハ之ヲ廃止ス他ノ国民トノ紛争解決ノ手段トシテノ武力ノ威嚇又ハ使用ハ永久ニ之ヲ廃棄ス
陸軍、海軍、空軍又ハ其ノ他ノ戦力ハ決シテ許諾セラルルコト無カルヘク又交戦状態ノ権利ハ決シテ国家ニ授与セラルルコト無カルヘシ
第三章 人民ノ権利及義務
国民の一主権としての戦争は之を廃止す他の国民との紛争解決の手段としての武力の威嚇又は使用は永久にこれを廃棄す
陸軍、海軍、空軍又はその他の戦力は決して許諾せらるること無かるべく又交戦状態の権利は決して国家に授与せらるること無かるべし
(War as a sovereign right of nation is abolished. The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation.No army, navy, air force, or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the State.
wiki独自訳(直訳):国家の君主、元首の権利としての戦争は打ち破られる。他の国家との紛争の収拾の手段としての脅迫か力の使用はいつであっても破棄される。兵無しまたは海軍無しまたは空軍なしまたはその他の戦闘能力無しはこれからも「米国か日本政府か不明」(the state)によって権利を持たされるであろう)
第三章 人民の権利及義務

第九条
日本国ノ人民ハ何等ノ干渉ヲ受クルコト無クシテ一切ノ基本的人権ヲ享有スル権利ヲ有ス
日本国の人民は何等の干渉を受くること無くして一切の基本的人権を享有する権利を有す
第十条
此ノ憲法ニ依リ日本国ノ人民ニ保障セラルル基本的人権ハ人類ノ自由タラントスル積年ノ闘争ノ結果ナリ時ト経験ノ坩堝ノ中ニ於テ永続性ニ対スル厳酷ナル試練ニ克ク耐ヘタルモノニシテ永世不可侵トシテ現在及将来ノ人民ニ神聖ナル委託ヲ以テ賦與セラルルモノナリ
この憲法に依り日本国の人民に保障せらるる基本的人権は人類の自由たらんとする積年の闘争の結果なり時と経験のるつぼの中に於て永続性に対する厳酷なる試練によく耐へたるものにして永世不可侵として現在及将来ノ人民ニ神聖ナル委託ヲ以テ賦與セラルルモノナリ
第十一条
此ノ憲法ニ依リ宣言セラルル自由、権利及機会ハ人民ノ不断ノ監視ニ依リ確保セラルルモノニシテ人民ハ其ノ濫用ヲ防キ常ニ之ヲ共同ノ福祉ノ為ニ行使スル義務ヲ有ス
この憲法に依り宣言せられる自由、権利及機会は人民の不断の監視に依り確保せられるものにして人民はしの濫用を防ぎ常にこれを共同の福祉の為に行使する義務を有す
第十二条
日本国ノ封建制度ハ終止スヘシ一切ノ日本人ハ其ノ人類タルコトニ依リ個人トシテ尊敬セラルヘシ一般ノ福祉ノ限度内ニ於テ生命、自由及幸福探求ニ対スル其ノ権利ハ一切ノ法律及一切ノ政治的行為ノ至上考慮タルヘシ
日本国の封建制度は終止すべし一切の日本人はその人類たることに依り個人として尊敬せらるべし一般の福祉の限度内に於て生命、自由及幸福探求に対するその権利は一切の法律及一切の政治的行為の至上考慮たるべし
第十三条
一切ノ自然人ハ法律上平等ナリ政治的、経済的又ハ社会的関係ニ於テ人種、信条、性別、社会的身分、階級又ハ国籍起源ノ如何ニ依リ如何ナル差別的待遇モ許容又ハ黙認セラルルコト無カルヘシ
爾今以後何人モ貴族タルノ故ヲ以テ国又ハ地方ノ如何ナル政治的権力ヲモ有スルコト無カルヘシ
皇族ヲ除クノ外貴族ノ権利ハ現存ノ者ノ生存中ヲ限リ之ヲ廃止ス栄誉、勲章又ハ其ノ他ノ優遇ノ授與ニハ何等ノ特権モ附随セサルヘシ又右ノ授與ハ現ニ之ヲ有スル又ハ将来之ヲ受クル個人ノ生存中ヲ限リ其ノ効力ヲ失フヘシ
一切の自然人は法律上平等なり政治的、経済的又は社会的関係において人種、信条、性別、社会的身分、階級または国籍起源のいかんよりいかなる差別的待遇も許容または黙認せられること無かるべし
なんじ今以後何人も貴族たるの故をもって国または地方のいかなる政治的権力をも有すること無かるべし
皇族を除くの外貴族の権利は現存の者の生存中を限りこれを廃止す栄誉、勲章またはその他の優遇の授與には何等の特権も附随せざるべしまた右の授与は現にこれを有するまたは将来これを受くる個人の生存中ヲを限りその効力を失うべし
第十四条
人民ハ其ノ政府及皇位ノ終局的決定者ナリ彼等ハ其ノ公務員ヲ選定及罷免スル不可譲ノ権利ヲ有ス
一切ノ公務員ハ全社会ノ奴僕ニシテ如何ナル団体ノ奴僕ニモアラス
有ラユル選挙ニ於テ投票ノ秘密ハ不可侵ニ保タルヘシ選挙人ハ其ノ選択ニ関シ公的ニモ私的ニモ責ヲ問ハルルコト無カルヘシ
人民はその政府および皇位の終局的決定者なり彼等はその公務員を選定および罷免する不可譲の権利を有す
一切の公務員は全社会の奴僕にしていかなる団体の奴僕にもあらず
あらゆる選挙において投票の秘密は不可侵に保たるべし選挙人はその選択に関し公的にも私的にも責を問はれること無かるべし
第十五条
何人モ損害ノ救済、公務員ノ罷免及法律、命令又ハ規則ノ制定、廃止又ハ改正ニ関シ平穏ニ請願ヲ為ス権利ヲ有ス又何人モ右ノ如キ請願ヲ主唱シタルコトノ為ニ如何ナル差別的待遇ヲモ受クルコト無カルヘシ
何人も損害の救済、公務員の罷免および法律、命令または規則の制定、廃止または改正に関し平穏に請願をなす権利を有すまた何人も右のごとき請願を主唱したることの為にいかなる差別的待遇をも受くること無かるべし
第十六条
外国人ハ平等ニ法律ノ保護ヲ受クル権利ヲ有ス
外国人は平等に法律の保護を受くる権利を有す
第十七条
何人モ奴隷、農奴又ハ如何ナル種類ノ奴隷役務ニ服セシメラルルコト無カルヘシ犯罪ノ為ノ処罰ヲ除クノ外本人ノ意思ニ反スル服役ハ之ヲ禁ス
何人も奴隷、農奴またはいかなる種類の奴隷役務に服せしめられること無かるべし犯罪の為の処罰を除くの外本人の意思に反する服役はこれを禁ず
第十八条
思想及良心ノ自由ハ不可侵タルヘシ
思想および良心の自由は不可侵たるべし
第十九条
宗教ノ自由ハ何人ニモ保障セラル如何ナル宗教団体モ国家ヨリ特別ノ特権ヲ受クルコト無カルヘク又政治上ノ権限ヲ行使スルコト無カルヘシ
何人モ宗教的ノ行為、祝典、式典又ハ行事ニ参加スルコトヲ強制セラレサルヘシ
国家及其ノ機関ハ宗教教育又ハ其ノ他如何ナル宗教的活動ヲモ為スヘカラス
宗教の自由は何人にも保障せらるいかなる宗教団体も国家より特別の特権を受くること無かるべくまた政治上の権限を行使すること無かるべし
何人も宗教的の行為、祝典、式典または行事に参加することを強制せられざるべし
国家およびその機関は宗教教育またはその他いかなる宗教的活動をも為すべからず
第二十条
集会、言論及定期刊行物並ニ其ノ他一切ノ表現形式ノ自由ヲ保障ス検閲ハ之ヲ禁シ通信手段ノ秘密ハ之ヲ侵ス可カラス
集会、言論及定期刊行物ならびにその他一切の表現形式の自由を保障す検閲はこれを禁じ通信手段の秘密はこれを侵すべからず
第二十一条
結社、運動及住居選定ノ自由ハ一般ノ福祉ト抵触セサル範囲内ニ於テ何人ニモ之ヲ保障ス
何人モ外国ニ移住シ又ハ国籍ヲ変更スル自由ヲ有ス
結社、運動および住居選定の自由は一般の福祉と抵触せざる範囲内において何人にもこれを保障す
何人も外国に移住しまたは国籍を変更する自由を有す
第二十二条
学究上ノ自由及職業ノ選択ハ之ヲ保障ス
学究上の自由および職業の選択はこれを保障す
第二十三条
家族ハ人類社会ノ基底ニシテ其ノ伝統ハ善カレ悪シカレ国民ニ滲透ス婚姻ハ男女両性ノ法律上及社会上ノ争フ可カラサル平等ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ此等ノ原則ニ反スル諸法律ハ廃止セラレ配偶ノ選択、財産権、相続、住所ノ選定、離婚並ニ婚姻及家族ニ関スル其ノ他ノ事項ヲ個人ノ威厳及両性ノ本質的平等ニ立脚スル他ノ法律ヲ以テ之ニ代フヘシ
家族は人類社会の基底にしてその伝統は善かれ悪かれ(good or evil)国民に浸透す婚姻は男女両性の法律上および社会上の争うべからざる平等(social equality社会的同等)((法の上で争うことのない社会的同等))の上に存し両親の強要の代わりに相互同意(mutual consent)の上に基礎づけられ且男性支配の代わりに協力に依り維持せられるべしこれらの原則に反する諸法律は廃止せられ配偶の選択、財産権、相続、住所の選定、離婚並びに婚姻および家族に関するその他の事項を個人の威厳および両性の%%%本質的平等%%%に立脚する他の法律をもってこれに代うべし
第二十四条
有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、自由、正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルヘシ
無償、普遍的且強制的ナル教育ヲ設立スヘシ
児童ノ私利的酷使ハ之ヲ禁止スヘシ
公共衛生ヲ改善スヘシ
社会的安寧ヲ計ルヘシ
労働条件、賃銀及勤務時間ノ規準ヲ定ムヘシ
有らゆる生活範囲において法律は社会的福祉(social welfare)、自由、正義および民主主義の向上発展の為に立案せらるべし
無償、普遍的かつ強制的なる(compulsory)教育を設立すべし
児童の私利的酷使(The exploitation of children)はこれを禁止すべし
公共衛生を改善すべし
社会的安寧を計るべし
労働条件、賃銀および勤務時間の規準を定むべし(Standards for working conditions, wages and hours shall be fixed.)
第二十五条
何人モ働ク権利ヲ有ス
何人も働く権利を有す(All men have the right to work)
第二十六条
労働者ガ団結、商議及集団行為ヲ為ス権利ハ之ヲ保障ス
労働者ガ団結、商議および集団行為をなす権利はこれを保障す
第二十七条
財産ヲ所有スル権利ハ不可侵ナリ然レトモ財産権ハ公共ノ福祉ニ従ヒ法律ニ依リ定義セラルヘシ
財産を所有する権利は不可侵なりしかれども財産権は公共の福祉(public welfare)に従い法律に依り定義せらるべし((in conformity with the public welfare公共の福祉にならう))
第二十八条
土地及一切ノ天然資源ノ究極的所有権ハ人民ノ集団的代表者トシテノ国家ニ帰属ス国家ハ土地又ハ其ノ他ノ天然資源ヲ其ノ保存、開発、利用又ハ管理ヲ確保又ハ改善スル為ニ公正ナル補償ヲ払ヒテ収用スルコトヲ得
土地および一切の天然資源の究極的所有権は人民の集団的代表者としての国家に帰属す国家は土地またはその他の天然資源をその保存、開発、利用または管理を確保または改善する為に公正なる補償を払いて収用することを得
第二十九条
財産ヲ所有スル者ハ義務ヲ負フ其ノ使用ハ公共ノ利益ノ為タルヘシ国家ハ公正ナル補償ヲ払ヒテ私有財産ヲ公共ノ利益ノ為ニ収用スルコトヲ得
財産を所有する者は義務を負うその使用は公共の利益の為たるべし国家は公正なる補償を払いて私有財産を公共の利益の為に収用することを得
第三十条
何人モ裁判所ノ当該官吏カ発給シ訴追ノ理由タル犯罪ヲ明示セル逮捕状ニ依ルニアラスシテ逮捕セラルルコト無カルヘシ但シ犯罪ノ実行中ニ逮捕セラルル場合ハ此ノ限ニ在ラス
何人も裁判所の当該官吏カ発給し訴追の理由たる犯罪を明示せる逮捕状に依るにあらずして逮捕せられること無かるべしただし犯罪の実行中に逮捕せられる場合はこの限に在らず
第三十一条
何人モ訴追ノ趣旨ヲ直チニ告ケラルルコト無ク又ハ直チニ弁護人ヲ依頼スル特権ヲ與ヘラルルコト無クシテ逮捕又ハ拘留セラレサルヘシ何人モ交通禁断者トセラルルコト無カルヘシ何人モ適当ナル理由無クシテ拘留セラレサルヘシ要求アルトキハ右理由ハ公開廷ニテ本人及其ノ弁護人ノ面前ニ於テ直チニ開示セラルヘシ
何人も訴追の趣旨を直ちに告げられること無くまたは直ちに弁護人を依頼する特権を与えられること無くして逮捕または拘留せられざるべし何人も交通禁断者とせられること無かるべし何人も適当なる理由無くして拘留せられざるべし要求あるときは右理由は公開廷にて本人およびその弁護人の面前において直ちに開示せられるべし
第三十二条
何人モ国会ノ定ムル手続ニ依ルニアラサレハ其ノ生命若ハ自由ヲ奪ハレ又ハ刑罰ヲ科セラルルコト無カルヘシ又何人モ裁判所ニ上訴ヲ提起スル権利ヲ奪ハルコト無カルヘシ
何人も国会の定むる手続に依るにあれざればその生命もしくは自由を奪はれまたは刑罰を科せられること無かるべしまた何人も裁判所に上訴を提起する権利を奪はること無かるべし
第三十三条
人民カ其ノ身体、家庭、書類及所持品ニ対シ侵入、捜索及押収ヨリ保障セラルル権利ハ相当ノ理由ニ基キテノミ発給セラレ殊ニ捜索セラルヘキ場所及拘禁又ハ押収セラルヘキ人又ハ物ヲ表示セル司法逮捕状ニ依ルニアラスシテ害セラルルコト無カルヘシ
各捜索又ハ拘禁若ハ押収ハ裁判所ノ当該官吏ノ発給セル各別ノ逮捕状ニ依リ行ハルヘシ
人民がその身体、家庭、書類および所持品に対し侵入、捜索および押収より保障せられる権利は相当の理由に基きてのみ発給せられ殊に捜索せらるべき場所および拘禁または押収せらるべき人または物を表示せる司法逮捕状に依るにあらずして害せられること無かるべし
各捜索または拘禁もしくは押収は裁判所の当該官吏の発給せる各別の逮捕状に依り行われるべし
第三十四条
公務員ニ依ル拷問ハ絶対ニ之ヲ禁ス
公務員に依る拷問は絶対にこれを禁ず
第三十五条
過大ナル保釈金ヲ要求スヘカラス又残虐若ハ異常ナル刑罰ヲ科スヘカラス
過大なる保釈金を要求すべからずまた残虐もしくは異常なる刑罰を科すべからず
第三十六条
一切ノ刑事訴訟事件ニ於テ被告人ハ公平ナル裁判所ノ迅速ナル公開裁判ヲ受クル権利ヲ享有スヘシ
刑事被告人ハ一切ノ証人ヲ反対訊問スル有ラユル機会ヲ與へラルヘク又自己ノ為ノ証人ヲ公費ヲ以テ獲得スル強制的手続ニ対スル権利ヲ有スヘシ
被告人ハ常ニ資格アル弁護人ヲ依頼シ得へク若シ自己ノ努力ニ依リ弁護人ヲ得ル能ハサルトキハ政府ニ依リ弁護人ヲ附添セラルヘシ
一切の刑事訴訟事件において被告人は公平なる裁判所の迅速なる公開裁判を受くる権利を享有すべし
刑事被告人は一切の証人を反対訊問するあらゆる機会を与えたるべくまた自己の為の証人を公費をもって獲得する強制的手続に対する権利を有すべし
被告人は常に資格ある弁護人を依頼し得べくもし自己の努力に依り弁護人を得る能はざるときは政府に依り弁護人を附添せれるべし
第三十七条
何人モ管轄権有ル裁判所ニ依ルニアラサレハ有罪ト宣言セラルルコト無カルヘシ
何人モ同一ノ犯罪ニ因リ再度厄ニ遭フコト無カルヘシ
何人も管轄権有る裁判所に依るにあらざれば有罪と宣言せられること無かるべし
何人も同一の犯罪により再度厄に遭うこと無かるべし
第三十八条
何人モ自己ニ不利益ナル証言ヲ為スコトヲ強要セラレサルヘシ
自白ハ強制、拷問若ハ脅迫ノ下ニ為サレ又ハ長期ニ亘ル逮捕若ハ拘留ノ後ニ為サレタルトキハ証拠トシテ許容セラレサルヘシ
何人モ自己ニ不利益ナル唯一ノ証拠カ自己ノ自白ナル場合ニ於テハ有罪ノ判決又ハ刑ノ宣告ヲ受クルコト無カルヘシ
何人も自己に不利益なる証言を為すことを強要せられざるべし
自白は強制、拷問もしくは脅迫の下に為されまたは長期にわたる逮捕もしくは拘留の後に為されたるときは証拠として許容せられざるべし
何人も自己に不利益なる唯一の証拠が自己の自白なる場合においては有罪の判決または刑の宣告を受くること無かるべし
第三十九条
何人モ実行ノ時ニ於テ合法ナリシ行為ニ因リ刑罰ヲ科セラルルコト無カルヘシ
何人も実行の時において合法なりし行為により刑罰を科せられること無かるべし
第四章 国会

第四十条
国会ハ国家ノ権力ノ最高ノ機関ニシテ国家ノ唯一ノ法律制定機関タルヘシ
国会は国家の権力の最高の機関にして国家の唯一の法律制定機関たるべし
第四十一条
国会ハ三百人ヨリ少カラス五百人ヲ越エサル選挙セラレタル議員ヨリ成ル単一ノ院ヲ以テ構成ス 
国会は三百人より少からず五百人を越えざる選挙せられたる議員より成る単一の院をもって構成す 
第四十二条
選挙人及国会議員候補者ノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ而シテ右資格ヲ定ムルニ当リテハ性別、人種、信条、皮膚色又ハ社会上ノ身分ニ因リ何等ノ差別ヲ為スヲ得ス
選挙人および国会議員候補者の資格は法律を持ってこれを定むべしそして右資格を定めるに当りては性別、人種、信条、皮膚色または社会上の身分により何等の差別を為すことを得ず
第四十三条
国会議員ハ国庫ヨリ法律ノ定ムル適当ノ報酬ヲ受クヘシ
国会議員は国庫より法律の定める適当の報酬を受くべし
第四十四条
国会議員ハ法律ノ規定スル場合ヲ除クノ外如何ナル場合ニ於テモ国会ノ議事ニ出席中又ハ之ニ出席スル為ノ往復ノ途中ニ於テ逮捕セラルルコト無カルヘク又国会ニ於ケル演説、討議又ハ投票ニ因リ国会以外ニ於テ法律上ノ責ヲ問ハルルコト無カルヘシ
国会議員は法律の規定する場合を除くの外いかなる場合においても国会の議事に出席中またはこれに出席するための往復の途中において逮捕せられること無かるべくまた国会における演説、討議または投票により国会以外において法律上の責を問晴れること無かるべし
第四十五条
国会議員ノ任期ハ四年トス然レトモ此ノ憲法ノ規定スル国会解散ニ因リ満期以前ニ終了スルコトヲ得
国会議員の任期は四年とすしかれどもこの憲法の規定する国会解散により満期以前に終了することを得
第四十六条
選挙、任命及投票ノ方法ハ法律ニ依リ之ヲ定ムヘシ
選挙、任命および投票の方法は法律に依りこれを定むべし
第四十七条
国会ハ少クトモ毎年一回之ヲ召集スヘシ
国会は少くとも毎年一回これを召集すべし
第四十八条
内閣ハ臨時議会ヲ召集スルコトヲ得国会議員ノ二割ヨリ少カラサル者ノ請願アリタルトキハ之ヲ召集スルコトヲ要ス
内閣は臨時議会を召集することを得国会議員の二割より少からざる者の請願ありたる時はこれを召集することを要す
第四十九条
国会ハ選挙及議員ノ資格ノ唯一ノ裁決者タルヘシ当選ノ証明ヲ有スルモ其ノ効力ニ疑アル者ノ当選ヲ拒否セントスルトキハ出席議員ノ多数決ニ依ルヲ要ス
国会は選挙および議員の資格の唯一の裁決者たるべし当選の証明を有するもその効力に疑ある者の当選を拒否せんとする時は出席議員の多数決に依るを要す
第五十条
議事ヲ行フニ必要ナル定足数ハ議員全員ノ三分ノ一ヨリ少カラサル数トス此ノ憲法ニ規定スル場合ヲ除クノ外国会ノ行為ハ凡ヘテ出席議員ノ多数決ニ依ルヘシ可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議事を行うに必要なる定足数は議員全員の三分の一より少からざる数とすこの憲法に規定する場合を除くのほか国会の行為はすべて出席議員の多数決に依るべし可否同数なる時は議長の決する所に依る
第五十一条
国会ハ議長及其ノ他ノ役員ヲ選定スヘシ国会ハ議事規則ヲ定メ並ニ議員ヲ無秩序ナル行動ニ因リ処罰及除名スルコトヲ得議員除名ノ動議有リタル場合ニ之ヲ実行セントスルトキハ出席議員ノ三分ノ二ヨリ少カラサル者ノ賛成ヲ要ス
国会は議長およびその他の役員を選定すべし国会は議事規則を定めならびに議員を無秩序なる行動により処罰および除名することを得議員除名の動議有りたる場合にこれを実行しようとする時は出席議員の三分の二より少からざる者の賛成を要す
第五十二条
法律ハ法律案ニ依ルニアラサレハ之ヲ議決スルコトヲ得ス
法律は法律案に依るにあらざればこれを議決することを得ず
第五十三条
国会ノ議事ハ之ヲ公開スヘク秘密会議ハ之ヲ開クコトヲ得ス国会ハ其ノ議事ノ記録ヲ保存シ且発表スヘク一般公衆ハ此ノ記録ヲ入手シ得ヘシ出席議員二割ノ要求アルトキハ議題ニ対スル各議員ノ賛否ヲ議事録ニ記載スヘシ
国会の議事はこれを公開すべく秘密会議はこれを開くことを得ず国会はその議事の記録を保存しかつ発表すべく一般公衆はこの記録を入手し得えし出席議員二割の要求ある時は議題に対する各議員の賛否を議事録に記載すべし
第五十四条
国会ハ調査ヲ行ヒ証人ノ出頭及証言供述並ニ記録ノ提出ヲ強制シ且之ニ応セサル者ヲ処罰スル権限ヲ有スヘシ
国会は調査を行い証人の出頭および証言供述ならびに記録の提出を強制しかつこれに応せざる者を処罰する権限を有すべし
第五十五条
国会ハ出席議員ノ多数決ヲ以テ総理大臣ヲ指定スヘシ総理大臣ノ指定ハ国会ノ他ノ一切ノ事務ニ優先シテ行ハルヘシ
国会ハ諸般ノ国務大臣ヲ設定スヘシ
国会は出席議員の多数決をもって総理大臣を指定すべし総理大臣の指定は国会の他の一切の事務に優先して行はるべし
国会は諸般は国務大臣を設定すべし
第五十六条
総理大臣及国務大臣ハ国会ニ議席ヲ有スルト否トニ拘ハラス何時ニテモ法律案ヲ提出シ討論スル目的ヲ以テ出席スルコトヲ得質問ニ答弁スルコトヲ要求セラレタルトキハ出席スヘシ
総理大臣および国務大臣は国会に議席を有すると否とにかかわらず何時においても法律案を提出し討論する目的をもって出席することを得質問に答弁することを要求せられたる時は出席すべし
第五十七条
内閣ハ国会カ全議員ノ多数決ヲ以テ不信任案ノ決議ヲ通過シタル後又ハ信任案ヲ通過セサリシ後十日以内ニ辞職シ又ハ国会ニ解散ヲ命スヘシ国会カ解散ヲ命セラレタルトキハ解散ノ日ヨリ三十日ヨリ少カラス四十日ヲ超エサル期間内ニ特別選挙ヲ行フヘシ新タニ選挙セラレタル国会ハ選挙ノ日ヨリ三十日以内ニ之ヲ召集スヘシ
内閣は国会が全議員の多数決をもって不信任案の決議を通過したる後または信任案を通過せざりし後十日以内に辞職しまたは国会に解散を命ずべし国会が解散を命ぜられたる時は解散の日より三十日より少からず四十日を超えざる期間内に特別選挙を行うべし新たに選挙せられたる国会は選挙の日より三十日以内にこれを召集すべし
第五十八条
国会ハ罷免訴訟ノ被告タル司法官ヲ裁判スル為議員中ヨリ弾劾裁判所ヲ構成スヘシ
国会は罷免訴訟の被告たる司法官を裁判する為議員中より弾劾裁判所を構成すべし
第五十九条
国会ハ此ノ憲法ノ規定ヲ施行スル為必要ニシテ適当ナル一切ノ法律ヲ制定スヘシ
国会はこの憲法の規定を施行する為必要にして適当なる一切の法律を制定すべし
第五章 内閣

第六十条
行政権ハ内閣ニ帰属ス
行政権は内閣に帰属す
第六十一条
内閣ハ其ノ首長タル総理大臣及国会ニ依リ授権セラルル其ノ他ノ国務大臣ヲ以テ構成ス
内閣ハ行政権ノ執行ニ当リ国会ニ対シ集団的ニ責任ヲ負フ
内閣はその首長たる総理大臣および国会に依り授権せられるその他の国務大臣をもって構成す
内閣は行政権の執行に当り国会に対し集団的に責任を負う
第六十二条
総理大臣ハ国会ノ輔弼及協賛ヲ以テ国務大臣ヲ任命スヘシ
総理大臣ハ個々ノ国務大臣ヲ任意ニ罷免スルコトヲ得
総理大臣は国会の補佐および協賛をもって国務大臣を任命すべし
総理大臣は個々の国務大臣を任意に罷免することを得
第六十三条
総理大臣欠員ト為リタルトキ又ハ新国会ヲ召集シタルトキハ内閣ハ総辞職ヲ為スヘク新総理大臣指名セラルヘシ
右指名アルマテハ内閣ハ其ノ責務ヲ行フヘシ
総理大臣欠員と為りたる時または新国会を召集したる時は内閣は総辞職を為すべく新総理大臣指名せられるべし
右指名あるまでは内閣はその責務を行うべし
第六十四条
総理大臣ハ内閣ニ代リテ法律案ヲ提出シ一般国務及外交関係ヲ国会ニ報告シ並ニ行政府ノ各部及各支部ノ指揮及監督ヲ行フ
総理大臣は内閣に代りて法律案を提出し一般国務および外交関係を国会に報告しならびに行政府の各部および各支部の指揮及監督を行う
第六十五条
内閣ハ他ノ行政的責任ノホカ
法律ヲ忠実ニ執行シ国務ヲ管理スヘシ
外交関係ヲ処理スヘシ
公共ノ利益ト認ムル条約、国際規約及協定ヲ事前ノ授権又ハ事後ノ追認ニ依ル国会ノ協賛ヲ以テ締結スヘシ
国会ノ定ムル規準ニ従ヒ内政事務ヲ処理スヘシ
年次予算ヲ作成シテ之ヲ国会ニ提出スヘシ
此ノ憲法及法律ノ規定ヲ実行スル為命令及規則ヲ発スヘシ然レトモ右命令又ハ規則ハ刑罰規定ヲ包含スヘカラス
大赦、恩赦、減刑、執行猶予及復権ヲ賦與スヘシ
内閣は他の行政的責任のほか
法律を忠実に執行し国務を管理すべし
外交関係を処理すべし
公共の利益と認むる条約、国際規約および協定を事前の授権または事後の追認による国会の協賛をもって締結すべし
国会の定むる規準に従い内政事務を処理すべし
年次予算を作成してこれを国会に提出すべし
この憲法および法律の規定を実行する為命令および規則を発すべししかれども右命令または規則は刑罰規定を包含すべからず
大赦、恩赦、減刑、執行猶予および復権を付与すべし
第六十六条
一切ノ国会制定法及行政命令ハ当該国務大臣之ニ署名シ総理大臣之ニ副署スヘシ
一切の国会制定法および行政命令は当該国務大臣これに署名し総理大臣これに副署すべし
第六十七条
内閣大臣ハ総理大臣ノ承諾無クシテ在任中訴追セラルルコト無カルヘシ然レトモ此ノ理由ニ因リ如何ナル訴権モ害セラルルコトナシ
内閣大臣は総理大臣の承諾無くして在任中訴追せられること無かるべし然れどもこの理由によりいかなる訴権も害せられることなし
第六章 司法

第六十八条
強力ニシテ独立ナル司法府ハ人民ノ権利ノ堡塁ニシテ全司法権ハ最高法院及国会ノ随時設置スル下級裁判所ニ帰属ス
特別裁判所ハ之ヲ設置スヘカラス又行政府ノ如何ナル機関又ハ支部ニモ最終的司法権ヲ賦與スヘカラス
判事ハ凡ヘテ其ノ良心ノ行使ニ於テ独立タルヘク此ノ憲法及其レニ基キ制定セラルル法律ニノミ拘束セラルヘシ
強力にして独立なる司法府は人民の権利の堡塁(the bulwark語源bolus(角の取れたおもり) work)にして全司法権は最高法院および国会の随時設置する下級裁判所に帰属す
特別裁判所(extraordinary tribunal=超法規裁判所)はこれを設置すべからずまた行政府のいかなる機関または支部にも最終的司法権を付与すべからず
判事はすべてその良心の行使において独立たるべくこの憲法およびそれに基づき制定せられる法律にのみ拘束せられるべし
第六十九条
最高法院ハ規則制定権ヲ有シ其レニ依リ訴訟手続規則、弁護士ノ資格、裁判所ノ内部規律、司法行政並ニ司法権ノ自由ナル行使ニ関係アル其ノ他ノ事項ヲ定ム
検事ハ裁判所ノ職員ニシテ裁判所ノ規則制定権ニ服スヘシ
最高法院ハ下級裁判所ノ規則ヲ制定スル権限ヲ下級裁判所ニ委任スルコトヲ得
最高法院は規則制定権を有しそれに依り訴訟手続規則、弁護士の資格、裁判所の内部規律、司法行政ならびに司法権の自由なる行使に関係あるその他の事項を定む
検事は裁判所の職員にして裁判所の規則制定権に服すべし
最高法院は下級裁判所の規則を制定する権限を下級裁判所に委任することを得
第七十条
判事ハ公開ノ弾劾ニ依リテノミ罷免スルコトヲ得行政機関又ハ支部ニ依リ懲戒処分ニ附セラルルコト無カルヘシ
判事は公開の弾劾に依りてのみ罷免することを得行政機関または支部に依り懲戒処分に附せられること無かるべし
第七十一条
最高法院ハ首席判事及国会ノ定ムル員数ノ普通判事ヲ以テ構成ス右判事ハ凡ヘテ内閣ニ依リ任命セラレ不都合ノ所為無キ限リ満七十歳ニ到ルマテ其ノ職ヲ免セラルルコト無カルヘシ但シ右任命ハ凡ヘテ任命後最初ノ総選挙ニ於テ、爾後ハ次ノ先位確認後十暦年経過直後行ハルル総選挙ニ於テ、審査セラルヘシ若シ選挙民カ判事ノ罷免ヲ多数決ヲ以テ議決シタルトキハ右判事ノ職ハ欠員ト為ルヘシ
右ノ如キ判事ハ凡ヘテ定期ニ適当ノ報酬ヲ受クヘシ報酬ハ任期中減額セラルルコト無カルヘシ
最高法院は首席判事および国会の定むる員数の普通判事をもって構成す右判事はすべて内閣に依り任命せられ不都合の所為無き限り満七十歳に到るまでその職を免ぜられること無かるべしただし右任命はすべて任命後最初の総選挙において、その後は次の先位確認後十暦年経過直後行われる総選挙において、審査せられるべしもし選挙民が判事の罷免を多数決をもって議決したるときは右判事の職は欠員と為るべし
右の如き判事はすべて定期に適当の報酬を受くべし報酬は任期中減額せられること無かるべし
第七十二条
下級裁判所ノ判事ハ各欠員ニ付最高法院ノ指名スル少クトモ二人以上ノ候補者ノ氏名ヲ包含スル表ノ中ヨリ内閣之ヲ任命スヘシ右判事ハ凡ヘテ十年ノ任期ヲ有スヘク再任ノ特権ヲ有シ定期ニ適当ノ報酬ヲ受クヘシ報酬ハ任期中減額セラルルコト無カルヘシ判事ハ満七十歳ニ達シタルトキハ退職スヘシ
下級裁判所の判事は各欠員に付最高法院の指名する少くとも二人以上の候補者の氏名を包含する表の中より内閣これを任命すべし右判事はすべて十年の任期を有すべく再任の特権を有し定期に適当の報酬を受くべし報酬は任期中減額せられること無かるべし判事は満七十歳に達したるときは退職すべし
第七十三条
最高法院ハ最終裁判所ナリ法律、命令、規則又ハ官憲ノ行為ノ憲法上合法ナリヤ否ヤノ決定カ問題ト為リタルトキハ憲法第三章ニ基ク又ハ関連スル有ラユル場合ニ於テハ最高法院ノ判決ヲ以テ最終トス法律、命令、規則又ハ官憲ノ行為ノ憲法上合法ナリヤ否ヤノ決定カ問題ト為リタル其ノ他有ラユル場合ニ於テハ国会ハ最高法院ノ判決ヲ再審スルコトヲ得
再審ニ附スルコトヲ得ル最高法院ノ判決ハ国会議員全員ノ三分ノ二ノ賛成ヲ以テノミ之ヲ破棄スルコトヲ得国会ハ最高法院ノ判決ノ再審ニ関スル手続規則ヲ制定スヘシ
最高法院は最終裁判所なり法律、命令、規則または官憲の行為の憲法上合法なりや否やの決定が問題と為りたるときは憲法第三章に基づくまたは関連する有らゆる場合においては最高法院の判決をもって最終とす法律、命令、規則または官憲の行為の憲法上合法なりや否やの決定カ問題と為りたるその他有らゆる場合においては国会は最高法院の判決を再審することを得
再審に附することを得る最高法院の判決は国会議員全員の三分の二の賛成をもってのみこれを破棄することを得国会は最高法院の判決の再審に関する手続規則を制定すべし
第七十四条
外国ノ大使、公使及領事官ニ関係アル一切ノ事件ニ於テハ最高法院ハ専属的原始管轄ヲ有ス
外国の大使、公使および領事官に関係ある一切の事件においては最高法院は専属的原始管轄を有す
第七十五条
裁判ハ公開廷ニ於テ行ヒ判決ハ公然言ヒ渡スヘシ然レトモ裁判所カ公開ヲ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ害有リト全員一致ヲ以テ決スルトキハ非公開ニテ裁判ヲ行フコトヲ得但シ政治的犯罪、定期刊行物ノ犯罪及此ノ憲法第三章ノ確保スル人民ノ権利カ問題ト為レル場合ニ於ケル裁判ハ例外ナク公開セラルヘシ
裁判は公開廷において行い判決は公然言い渡すべししかれども裁判所が公開を公の秩序または善良の風俗に害有りと全員一致をもって決するときは非公開にて裁判を行うことを得ただし政治的犯罪、定期刊行物の犯罪(offenses of the press報道機関のルール・法律違反)およびこの憲法第三章の確保する人民の権利が問題と為れる場合における裁判は例外なく公開せられるべし
第七章 財政

第七十六条
租税ヲ徴シ、金銭ヲ借入レ、資金ヲ使用シ並ニ硬貨及通貨ヲ発行シ及其ノ価格ヲ規整スル権限ハ国会ヲ通シテ行使セラルヘシ
租税を徴し、金銭を借入れ、資金を使用しならびに硬貨および通貨を発行しおよびその価格を規整する権限は国会を通じて行使せられるべし
第七十七条
国会ノ行為ニ依リ又ハ国会ノ定ムル条件ニ依ルニアラサレハ新タニ租税ヲ課シ又ハ現行ノ租税ヲ変更スルコトヲ得ス
此ノ憲法発布ノ時ニ於テ効力ヲ有スル一切ノ租税ハ現行ノ規則カ国会ニ依リ変更セラルルマテ引キ続キ現行ノ規則ニ従ヒ徴集セラルヘシ
国会の行為に依りまたは国会の定むる条件に依るにあらざれば新たに租税を課しまたは現行の租税を変更することを得ず
この憲法発布の時において効力を有する一切の租税は現行の規則が国会に依り変更せられるまで引き続き現行の規則に従い徴集せらるべし
第七十八条
充当スヘキ特別予算無クシテ契約ヲ締結スヘカラス
又国会ノ承認ヲ得ルニアラサレハ国家ノ資産ヲ貸與スヘカラス
充当すべき特別予算無くして契約を締結すべからず
また国会の承認を得るにあらざれば国家の資産を貸与すべからず
第七十九条
内閣ハ一切ノ支出計画並ニ歳入及借入予想ヲ含ム次期会計年度ノ全財政計画ヲ示ス年次予算ヲ作成シ之ヲ国会ニ提出スヘシ
内閣は一切の支出計画ならびに歳入および借入予想を含む次期会計年度の全財政計画を示す年次予算を作成しこれを国会に提出すべし
第八十条
国会ハ予算ノ項目ヲ不承認、減額、増額若ハ却下シ又ハ新タナル項目ヲ追加スルコトヲ得
国会ハ如何ナル会計年度ニ於テモ借入金額ヲ含ム同年度ノ予想歳入ヲ超過スル金銭ヲ支出スヘカラス
国会は予算の項目を不承認、減額、増額もしくは却下しまたは新たなる項目を追加することを得
国会はいかなる会計年度においても借入金額を含む同年度の予想歳入を超過する金銭を支出すべからず
第八十一条
予期セサル予算ノ不足ニ備フル為内閣ノ直接監督ノ下ニ支出スヘキ予備費ヲ設クルコトヲ許スコトヲ得
内閣ハ予備費ヲ以テスル一切ノ支出ニ関シ国会ニ対シ責任ヲ負フヘシ
予期せざる予算の不足に備うる為内閣の直接監督の下に支出すべき予備費を設けることを許すことを得
内閣は予備費をもってする一切の支出に関し国会に対し責任を負うべし
第八十二条
世襲財産ヲ除クノ外皇室ノ一切ノ財産ハ国民ニ帰属スヘシ一切ノ皇室財産ヨリスル収入ハ国庫ニ納入スヘシ而シテ法律ノ規定スル皇室ノ手当及費用ハ国会ニ依リ年次予算ニ於テ支弁セラルヘシ
世襲財産を除くの外皇室の一切の財産は国民に帰属すべし一切の皇室財産よりする収入は国庫に納入すべしそして法律の規定する皇室の手当および費用は国会に依り年次予算において支弁せられるべし
第八十三条
公共ノ金銭又ハ財産ハ如何ナル宗教制度、宗教団体若ハ社団ノ使用、利益若ハ支持ノ為又ハ国家ノ管理ニ服ササル如何ナル慈善、教育若ハ博愛ノ為ニモ充当セラルルコト無カルヘシ
公共の金銭または財産はいかなる宗教制度、宗教団体もしくは社団の使用、利益もしくは支持の為または国家の管理に服さざるいかなる慈善、教育もしくは博愛の為にも充当せられること無かるべし
第八十四条
会計検査院ハ毎年国家ノ一切ノ支出及歳入ノ最終的会計検査ヲ為シ内閣ハ次年度中ニ之ヲ国会ニ提出スヘシ
会計検査院ノ組織及権限ハ国会之ヲ定ムヘシ
会計検査院は毎年国家の一切の支出および歳入の最終的会計検査を為し内閣は次年度中にこれを国会に提出すべし
会計検査院の組織および権限は国会これを定むべし
第八十五条
内閣ハ定期ニ且少クトモ毎年財政状態ヲ国会及人民ニ報告スヘシ
内閣は定期にかつ少くとも毎年財政状態を国会および人民に報告すべし
第八章 地方政治

第八十六条
府県知事、市長、町長、徴税権ヲ有スル其ノ他ノ一切ノ下級自治体及法人ノ行政長、府県議会及地方議会ノ議員並ニ国会ノ定ムル其ノ他ノ府県及地方役員ハ夫レ夫レ其ノ社会内ニ於テ直接普通選挙ニ依リ選挙セラルヘシ
府県知事、市長、町長、徴税権を有するその他の一切の下級自治体および法人の行政長、府県議会および地方議会の議員ならびに国会の定めるその他の府県および地方役員はそれぞれその社会内において直接普通選挙に依り選挙せられるべし
第八十七条
首都地方、市及町ノ住民ハ彼等ノ財産、事務及政治ヲ処理シ並ニ国会ノ制定スル法律ノ範囲内ニ於テ彼等自身ノ憲章ヲ作成スル権利ヲ奪ハルルコト無カルヘシ
首都地方、市および町の住民は彼等の財産、事務および政治を処理しならびに国会の制定する法律の範囲内において彼等自身の憲章を作成する権利を奪はれること無かるべし
第八十八条
国会ハ一般法律ノ適用セラレ得ル首都地方、市又ハ町ニ適用セラルヘキ地方的又ハ特別ノ法律ヲ通過スヘカラス但シ右社会ノ選挙民ノ大多数ノ受諾ヲ条件トスルトキハ此ノ限ニ在ラス
国会は一般法律の適用せられ得る首都地方、市または町に適用せらるべき地方的または特別の法律を通過すべからずただし右社会の選挙民の大多数の受諾を条件とするときはこのかぎりに在らず
第九章 改正

第八十九条
此ノ憲法ノ改正ハ議員全員ノ三分ノ二ノ賛成ヲ以テ国会之ヲ発議シ人民ニ提出シテ承認ヲ求ムヘシ人民ノ承認ハ国会ノ指定スル選挙ニ於テ賛成投票ノ多数決ヲ以テ之ヲ為スヘシ
右ノ承認ヲ経タル改正ハ直ニ此ノ憲法ノ要素トシテ人民ノ名ニ於テ皇帝之ヲ公布スヘシ
この憲法の改正は議員全員の三分の二の賛成をもって国会これを発議し人民に提出して承認を求むべし人民の承認は国会の指定する選挙において賛成投票の多数決をもってこれを為すべし
右の承認を経たる改正は直にこの憲法の要素として人民の名において君主これを公布すべし
第十章 至上法

第九十条
此ノ憲法並ニ之ニ基キ制定セラルル法律及条約ハ国民ノ至上法ニシテ其ノ規定ニ反スル公ノ法律若ハ命令及詔勅若ハ其ノ他ノ政治上ノ行為又ハ其ノ部分ハ法律上ノ効力ヲ有セサルヘシ
この憲法ならびにこれに基づき制定せられる法律および条約は国民の至上法にしてその規定に反する公の法律もしくは命令および詔勅もしくはその他の政治上の行為またはその部分は法律上の効力を有せざるべし
第九十一条
皇帝皇位ニ即キタルトキ並ニ摂政、国務大臣、国会議員、司法府員及其ノ他ノ一切ノ公務員其ノ官職ニ就キタルトキハ、此ノ憲法ヲ尊重擁護スル義務ヲ負フ
此ノ憲法ノ効力発生スル時ニ於テ官職ニ在ル一切ノ公務員ハ右ト同様ノ義務ヲ負フヘク其ノ後任者ノ選挙又ハ任命セラルルマテ其ノ官職ニ止マルヘシ
君主君位に即きたるときならびに摂政、国務大臣、国会議員、司法府員およびその他ノの切の公務員その官職に就きたるときは、この憲法を尊重擁護する義務を負う
この憲法の効力発生する時において官職に在る一切の公務員は右と同様の義務を負うべくその後任者の選挙または任命せられるまでその官職に止まるべし
第十一章 承認

第九十二条
此ノ憲法ハ国会カ出席議員三分ノ二ノ氏名点呼ニ依リ之ヲ承認シタル時ニ於テ確立スヘシ
国会ノ承認ヲ得タルトキハ皇帝ハ此ノ憲法カ国民ノ至上法トシテ確立セラレタル旨ヲ人民ノ名ニ於テ直ニ宣布スヘシ
この憲法は国会が出席議員三分の二の氏名点呼に依りこれを承認したる時において確立すべし
国会の承認を得たるときは君主はこの憲法が国民の至上法として確立せられたる旨を人民の名において直に宣布すべし


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